レモンサワー

入院1日目

病院の朝は早い。

いつも遅刻ぎりぎりに登校する私の起床時間は8時。

その時間の2時間前に起こされた私は、とても不機嫌だった。

「おはようございます」と看護師さんが熱を測りにきた。

むすっとした顔で看護師さんを見ていた私は、昔のことを思い出した。

それは初めて少女漫画を読んで泣いたこと。

その少女漫画は、祖母のお見舞いに通う主人公の女の子が、余命3ヶ月の病気の男の子と恋をするというものだった。

私もそんなヒロインになりたいとあの頃は思っていた。

そして今も。

私は、入院したらそんな恋が出来るかもと考えていた。

そして看護師さんに聞いた。

「この病院に私と同い年くらいの男の子はいますか」

返ってきた答えは「いない」だった。

病院での恋は諦め、その日は1日テレビを見て終わった。
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