この幼なじみ要注意。



何も変わっていなかったって、今までのわたしは何も気づいていなかった。


前に華に言われたことを思い出した。


知紘みたいな男の子がそばにいて何とも感じないのって。



実際、知紘はかっこいいし、モテる。


だけど、わたしにとっては、昔と何も変わっていない風にしか受け止めていなくて


今の知紘を知らなかった


わたしの中での知紘は昔のままで止まっていて、


何も変わっていないって


そんな風に思っていた自分は違った。


「……美依」

「っ、」


こんなにも、わたしを見つめる瞳は真っ直ぐで、


美依って呼ぶ声も、
昔は可愛くて、幼かったのに、


今では、落ち着いた低い声は力強くて、耳元で呼ばれたらゾクッとする……。


こんな表情をするなんて……
まったく知らなかった。


こんなにも変わっていたなんて……

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