この幼なじみ要注意。



そのとき、柄にもなくわたしのことを必死に探していたらしい。


帰ってきたとき、玄関先の扉の前に座り込んでいて、わたしを見つけた途端ホッとしたような顔を見せて、そのまま怒られたんだっけ?


だけど、そのときの知紘は本当に心配していてくれたみたいで

いつも息なんか切らさないのに、肩で息するくらいで、ギュッと抱きしめたとき身体が少し汗ばんでいて。


『美依がいなくなったって想像しただけで死ぬかと思った……』


なんて、大げさなこと言って。


だけど、知紘がこんなに必死になるのにはちゃんとした理由がある。



それはわたしと知紘が中学生だった頃。


いつも一緒に帰る約束をしていたんだけど、その日は知紘がサッカー部の助っ人に無理やり連れて行かれてひとりで帰ることになった。


今は家から高校まで近い距離だったけど、中学校はわりと遠くて、通う道も人通りがあまりないところだった。

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