この幼なじみ要注意。



「何もなかったって、はっきりその口で言ってみなよ」


「っ……」


ほら、言わなきゃ……。

青井くんとは何もなかったって、今ならまだ間に合うのに。


「……言えないんだ。まあ、だいたい何があったかは想像できるけど」


そう言いながら、わたしの唇に知紘の指が触れる。

そして、自嘲的に笑いながら。


「言いなよ、青井くんにキスされましたって」


もう隠しきれない……。


ほら、崩れる音がする……。

知紘とわたしの関係が崩れる音が……


予感がする……もう知紘はわたしから離れていってしまうんじゃないかって

今みたいに一緒にいられなくなるんじゃないかって……。


「……隙だらけなんだよ」


切なげな声で……

歪めた表情の中に、
悲しげな瞳が見えて……


荒々しく、強引に
唇を重ねてきた。

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