この幼なじみ要注意。



***


学校まで歩いた距離はいつもは短く感じるのに、今日はとても遠く感じた。


ただ、真っ直ぐの道なのに。

その一直線が今日は長いように感じた。


そして、いつもこんなに早く登校してきたことがないから知らなかった。


門をくぐり抜けようとしたら、生徒会の人たちと、先生が立って挨拶をしていた。


いつもわたしが来る時間は遅すぎるから、門には誰も立っていなかった。


だけど、これが普通なんだ。


そのまま、通り抜けようとしたら



「……美依ちゃん、おはよ」


その声にハッとして

そしてそれと同時に、さっきまでぼけっとしていた頭が働いて


このまま立ち止まっておはよって返すべきか……

それともこのまま気づかないふりをして通り過ぎるか……。


そんなことを考えている間にも足は止まっていて


「あ……お、おはよ…う」


目も合わせられず、ぎこちない挨拶を返してしまった。

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