この幼なじみ要注意。
「美依ちゃんさ、前に街中で泣いてる小さい女の子助けたの覚えてない?」
突然そんなことを聞かれて、拍子抜けしたと同時に頭の中でそんなことあったっけ?って思い出してみる。
だけど、いまいちピンとこない。
「街中でひとりさ、くまのぬいぐるみ持って泣いてた子なんだけど」
街中で、くまのぬいぐるみを持った小さな女の子……
「あ、」
ふと、記憶の中にあるひとりの女の子が浮かんできた。
━━━1年前……
そう、それは前に華と駅で待ち合わせをしていたときだ。
駅に向かう前に時間が少しあったから街中をぶらっとひとりで歩いていたときのことだった。
わたしの目の前に現れた小さな小さな女の子。
くまのぬいぐるみをギュッと抱きかかえながら、肩をヒクヒク震わせて泣いていた。
その子の周りを見ても誰もいなくて、すぐに迷子になってるんだって気づいた。