この幼なじみ要注意。



教室に行くとすでにホームルームが始まっていて、青井くんが前の扉を開けるとクラス全体から一気に注目を浴びる。


「遅れてすみません」


「青井が遅れてくるとは珍しいな」


先生もいつも遅刻なんかしない青井くんが遅れてきたのを驚いている。

わたしは何も言えず、青井くんの後ろに隠れるだけ。


「小波さんが体調悪かったみたいで」

「そうなのか、小波?大丈夫か?」


「だ、大丈夫……です」


青井くんのとっさの嘘に驚きながらも、先生に不自然と思われないように対応した。


そのまま遅刻は免除されて青井くんは自分の席へ。


そして、わたしも自分の席に着こうと足を向けたとき。


「っ……」


一瞬だけ


知紘と目が合った。


いつもなら、おはよって挨拶するのに


ただ、無言でその視線を交わして、知紘の席を横切ってそのまま席に着いた。
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