この幼なじみ要注意。



***


そしてあっという間に放課後。


なんだか何もやる気になれなくて、今日何をしたかあまり記憶がない。

それくらい、今のわたしは空っぽになってしまっていた。


今だって、カバンに荷物をしまってる間も、視線はずっと目の前で寝ている大きな背中を見つめてばかり。


いつもだったら、そんな背中を叩いて「早く帰るよ!」って言えたのに


今はそんなこと言えない……。


ただ、胸のどこかで期待してる自分がいる


もしかしたら何もなかったようにいつもみたいに、「美依帰ろう」って言ってくれるかもしれないなんて……。


あぁ……バカみたい。


カバンを持って、そのまま席を立ち上がろうとしたとき


寝ていた知紘が顔を上げて起きた。

それがわかると思わずピタッと動作を止めてしまう。

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