この幼なじみ要注意。



ひとり、誰もいない廊下を歩く。


このまま誰にも会わず、何もないまま帰ることができたらよかったのに……


神様はとても意地悪だ。



「あれ?知紘くん今日ひとりなの〜?ひとりなら一緒に遊びに行かないっ?」


廊下の角を曲がろうとしたところで、そんな声が聞こえてしまったんだから……

明らかにそれは知紘を遊びに誘う女の子の声。


足を止めて、そのままその場に立ち尽くす。


「今日あの幼なじみの子いないの〜?」

「……別にカンケーないし」


「あっ、その様子だとケンカでもしたんでしょ?」


「………」


「なぁんだ、図星かぁ。じゃあ、なおさら一緒に遊びに行こうよ〜。わたしでよかったら知紘くんの相手するよ?」


グッとふたりの距離が近づいたのが見えた。

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