この幼なじみ要注意。
「ね、知紘くんもいいでしょっ?」
そう言いながら、また知紘に近づいて
目の前で知紘の腕をギュッと掴んでいた。
「っ……」
いかないで……って
心の中で叫んでいる自分がいる。
そんなこと口に出せない立場だってことくらいわかってる……。
だからただ、知紘を見つめるだけ……。
だけど、その視線は交わることはなく、知紘はわたしと目を合わそうとしない。
「ねっ、いいでしょ?」
「………」
少しの沈黙の後
「別にいいけど」
聞きたくなかった……。
こんなにもすんなり受け入れて、もう知紘にとってわたしは何ともない存在なんだ……。
「やったぁ!じゃ、いこっか!」
そのまま遠ざかっていくふたりをただ見つめるだけで、何もできない自分はどこまで惨めなんだろう……。
無意識なのか、そんなことを考えながら身体が動いた。