この幼なじみ要注意。



だけど、掴んだわたしの手は簡単に振り払われてしまって

すぐにわたしから距離をとった。


「っ……」

「……ちゃんと寝ないと悪化する」


どうして、そんな風に離れていっちゃうの……?


近づこうとしても、近づけない。
どうしたら、この想いを伝えられる?


それとも、もうこんな想いすべて無かったことにして、消してしまえば楽になる……?


そんなことできるわけないのに……。


瞳にうっすら涙が溜まってくる。


「……ちひろっ…」


わたしから離れてどこかへ行こうとする知紘を再び呼ぶと、こちらに振り返って足を止める。


「……なんで泣いてんの」

「今だけでいいの……っ。そばにいてほしいの……」


今だけなんて、この場の誤魔化しで
ほんとは離れてなんかほしくない…。

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