この幼なじみ要注意。



「あ、朝もしたでしょ…っ」

「あれは僕からだし」


なんとか逃げ道を作ろうとするけど、そう簡単には逃してもらえない。


「だ、だって知紘みたいにうまくできないもん……っ」


「……別に上手いも下手もないし」


なんだか慣れてるような感じで。

キスをする前の逸らさない視線、キスをしてる時にさりげなく絡むゆび、キスをした後の熱を持った瞳……


全部、知紘は慣れてる。

わたしみたいに動揺したり焦ったりしない。


それはわたし以外の女の子とそういうことしてたから?

だからこんな風にいつも余裕なの…?


あぁ、やだ……モヤモヤしてきた。
わたしは全部知紘が初めてなのに…。


知紘は違う……?

手を繋ぐのも、ギュッてするのも、キスするのも、それ以上のことも……。


「っ……」

「……どーしたの」


じんわりと視界が涙で滲んできたのがわかる。

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