この幼なじみ要注意。
少し息が上がっていて、それに髪も制服も濡れている。この大雨の中急いで帰ってきてくれたことがすごくわかる。
「ち、ちひろ……寒くない?」
「平気。美依のほーこそ大丈夫?」
「ん、知紘が来てくれたからだいじょぶ……っ」
さっきまで、ひとりで怖かったのに、今は自然と身体の震えも止まった。
「そ、よかった」
「濡れたままじゃ風邪引いちゃう…っ」
さすがにこのままにしといたらほんとに風邪引いちゃう。
「タオル取ってくるついでに、ブレーカー見てくるから。美依はここにいて」
離れていくのがわかると、とっさに身体が動いた。
「ふぇ……や、やだ…っ」
大きな背中にギュッとしがみつく。
「すぐ戻るから」
「ぅ……離れるのやだ…っ」
わたしってこんなにワガママだったっけ…?こんなこと言ったら知紘を困らせるだけなのに。