赤髪の彼
「すっかり恋人ぽいね。あのふたり」



遊園地を回ってる2人がたまに見える。



「そりゃそうだろ。俺が陽菜を知った頃にはもう2人は両想いだったんだから」


「へぇ…」



それならば、なぜあんな酷いセリフを吐いて振る必要があったのだろうか。



「振ったのはまぁ、あれだ気の迷いだ」



とかわけわからないことを言う。
ってかあたし何も言ってないのに、なんでこの人に考えてることバレるんだろう。



「お前さ、朝の通学大丈夫?」


「へ?」



急に何を言い出すのかと、変な声が出る。



「大丈夫ならいいんだ」


「もしかして、陽菜に聞いたの?」


「…うん。まぁな」



入学してすぐの頃。
朝の満員電車で痴漢に遭った。
その時、近くにいた人が助けてくれたけど、その人のおかげで電車にも乗れてる気がする。
テンパりすぎてて、顔も覚えてないのだけどね。

わかってたらお礼を言いたいのに。

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