赤髪の彼
「お前、俺のこと好き?」



もう素直になっていいのかもしれない。
ってか、告白だってしてることになってるんだから。
彼の中ではとっくに好きでしょ。



「あー、うん。わかってるからな?俺」


「え?何を?」


「お前が俺に告白なんかしてないってこと」


「え!?」



突然明かされた真実に、あたしは持っていたカバンをおとす。



〝お前、俺のこと好きなの?〟
って言ったのあたしは忘れてないよ?
勘違いしてたんじゃないの?



「なに、百面相になってんだよ」



あたしの顎をクイッと持ち上げる。



「西島くん?」


「あゆみ」



あたしの名前を呼んだ彼は優しく微笑んで。
そして優し口付けを落とす。



「はじめて名前、呼んだね」


「そうだっけ?」



初めてだよ。
あたしに対しては〝お前〟が通常営業で。
名前で呼ばれる陽菜のことが実は羨ましかったよ。


なんで、あたし〝お前〟なのかなって思ってた。

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