赤髪の彼
「…んなの、恥ずかしくてよべねぇよ」



いつになく赤い顔をした西島くん。



「か、顔赤すぎない!?」


「照れんだろ。やっぱり、名前で呼ぶとかよ」



少し強めにあたしのことを叩く。



「だって、陽菜には普通に呼んでんじゃん」



好きな子のほうが照れてもいいのに。
変なの。



「陽菜のことはそりゃ呼べるだろ」


「なんで?好きな子のほうが照れるでしょ。なんであたし相手に照れるの?」


「お前、何言ってんの?」



見てみればキョトンとした顔の西島くん。



「何って、西島くんの好きな子の話。陽菜のこと好きでしょ?それであたしと付き合えば西島くんに遠慮してた逢坂くんが陽菜と付き合うからだよね?」



これを言うのにためらったけど。
事実だから。
これをあたしがわかってるならたぶん付き合ってくれなくなるよね。



「…ざけんなよ」



すぐ後ろにあったフェンスに押し付けられる。

これって壁ドン?
いや、フェンスドン?

そんなことを考えるあたしはバカだ。

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