赤髪の彼
「声、おっきいよ…」


「だからってなんで付き合うことになるの?」


「付き合ってもいいよって言うから」


「そうじゃなくて!違うって言えばいいじゃん」



陽菜の言葉はもっともで。
でも、聞く耳なんて持たず話しを進められるし。



「こ、怖くて言えなかったの…」



あたしがこう言えば盛大なため息をつかれる。



「どうするのよ。もしも、西島くんがあゆのこと好きになったりしたら」


「そのときはそのときかなぁ…」



何も考えていなかった。
西島くんがどうしてあたしと付き合ったのかも。
あたしが断れなかった本当の意味も。
なにもわかっていなかった。



「もう、バカなんだから」


「なにも考えてないけどでも、ちゃんと付き合うよ…」


「はいはい。あたしが好きな海里の親友だからね。ちょっと怖いとこあるけど根はすっごく優しいよ」



わかってる。
まだ出会ってそんな経ってないのに、ほんとは彼が優しいってことはわかる。
でも、やっぱり怖い。

< 9 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop