ああ、もう、本当に大好き
賞賛と驚きが入り混じった声の残るプールサイドに耳を傾ける余裕などなく、ただ、その場から逃げるように更衣室に向かった。
苦しくて逃げたはずの、この空間に戻ってきてしまった、後悔。
そんな形にならない思いが胸の中で渦巻き、張り裂けそうだった。
忘れろ。今感じた事なんて、全部。
体がもう1度、それを欲する前に。
今なら、戻れるはずだから──
──2度と見たくなかった景色は、自分が1番心待ち
にしていた景色なのかもしれない──