星空を見上げて
「今日圭介さんが会社で女性と一緒にいるのを見たんです」
「会社に来てたのか?」
「あの人は?」
「彼女は花井梓さん、花井ホテルの社長令嬢だ」
「花井ホテルってあの?」
「ああ今の社長が5代目の老舗ホテルで彼女はその社長の娘だ」
「どうして今日来ていたんですか?」
「仕事のことで来たと言っていたが約束はしていなかった
おかしいと思い社長に電話すると
彼女の独断で来たということが分ったので帰ってもらった
その時玄関まで見送ったのを葵が見たんだな」
「花井ホテルとは仕事で何かあるんですか?」
「向こうから業務提携の話がきている」
「業務提携」
「ウチはホテル業界に於いては初心者だ
数年後にはそっちにも進出したいと思っていて計画を進めている
最初のころ花井ホテルを第一候補に挙げていたがその時は断られた
だから今、話が来るとは思ってもみなかったんだ」
「花井ホテルと提携するんですか?」
「俺が口をはさむことはあっても最終的には社長である親父が決めることだ
親父の判断に任せる」
「そうですか」
「他に聞きたいことはあるか?」
「え?」
「葵に隠し事はしない、聞きたいことは何でも聞いてくれ」
「大丈夫です聞きたいことは全部聞けました」
”梓さんのことどう思っているんですか?”
でもそれを聞くのは彼を信じていないことになる、私は怖くて聞けなかった