星空を見上げて

急ぎ鍵をあけ靴をぬぐのももどかしくリビングに飛び込んだ
寝室、書斎、クローゼット、バスルーム、キッチン当然だがどこにもいない

スーツケースを持って出ていったということは
帰ってくるつもりはないということなのか?
花井梓、あのオンナ葵に何を言ったんだ

するとリビングのテーブルの上に指輪が置かれているのに気がついた
震える指で指輪を取るとそれを握りしめた

「どこに行ったんだ?葵っ」

・・・・・

とりあえず2~3日分の着替えとお金とケータイを持って家を飛び出したが
北海道に知り合いはいない

「どこに行こう?」

ケータイにはひっきりなしに圭介さんから電話がかかってくる
出るに出れなくて私は電源を切った

圭介さん以外で顔が浮かんだのは絵里さん
でも絵里さんは東京だし、きっと圭介さんに連絡がいってしまう
かといって伯父さんも無理だし・・どうしよう

気がつくと圭介さんの会社のそばまで来ていた
結局私が行くところって圭介さんの所しかないんだな
そう思っていると声をかけられた

「葵さん?」振り向くとそこには桐沢さんが立っていた


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