星空を見上げて

「今回は梓のことで迷惑をかけたね
まさか勝手に君に会いにいっていたとは・・
知らなかったとはいえ私の監督不十分だ」と社長はアタマを下げた

「社長アタマを上げてください、もう済んだことです」

「君も知っての通りウチは代々続いている老舗ホテルだ
私には娘が2人いるがいずれはどっちかに後を継いでもらいたいと思っていた
だが無理強いするつもりは全くなかった
娘たちにもやりたいことはあるだろうしね

案の定梓は継ぎたくないと言ってきた
しかし上の娘、椿は小さいときから私の仕事を間近で見ていたからか
自分が後を継ぐからと言い大学卒業後ウチの会社で働きだしたんだ

そのため1日の大半は椿について仕事を教えることが多くなったが
逆に梓と過ごす時間は極端に減った、忙しさを理由にほったらかしていた
その結果梓が何を考えていたのか分ってやれなかった」

「・・・」

「そんなある日
ウチが主催したパーティが開かれることになったんだが
梓がそれに出席したいと言ってきた、会いたい人がいると・・それが君だった
どこで会ったのか一目ぼれしたと言ってね君が出席すると聞きつけてきたんだ

だがその時君は既に婚約していたので諦めるよう言ったんだが
顔だけでも見たいと言われパーティに行くことを許した
しかし許すべきではなかった
結果は君や君の婚約者、そして会社にも多大な迷惑をかけてしまった

梓のしたことは許せることではない
しかしそんなことをさせてしまった原因は私にもある
梓も君に言われ自分のしたことの重大さに気付き今は反省している
娘に代わり謝らせてほしい、本当に申し訳なかった」


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