星空を見上げて

・・・・・

引き継ぎも引っ越しも済み
身軽になった私たちは明後日東京に発つことになった

私はからっぽになった部屋を見回した
ここで圭介さんと暮らし始めて1年とちょっと
あっという間だった

彼は取引先の挨拶まわりがまだ数社あり
それを済ませてから発つことになっていたので
2日だけホテル住まいになった

「葵、そろそろ行くぞ」

「あ、はい」

「どうした?」

「最後なのでちょっとだけ見ておこうと思って」

そう言うとリビングの中央に立ちもう一度見回した

「さあ行こう」

そう言うと私たちは家を出てドアに鍵をかけた


・・・・・

空港近くのホテルに着くとチェックインをすませ部屋に入った

私と彼の始まりは北海道、そして一緒にこの地で暮らした
そのせいか何だか故郷を離れるようでとても寂しい

次に来るのは冴子さんの結婚式の時だろう
それまでさよならだ

そんなことを考えていると後ろから抱きしめられた
私が彼にもたれかかるとちゅっとアタマにキスされた
その後言葉は交わさず2人窓の外に広がる街の灯りをただ眺めていた


< 146 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop