星空を見上げて

相変わらず人で賑わうロビーは絶え間なく人が出入りを繰り返している
同じフロアにあるのが嘘のように静かなコーヒーショップに私とその人はいた

「初めましてなのかな?俺は草摩隆司、涼太の友人だよ」

「涼太?」

「そう日下部涼太、ひょっとして涼太のことも分らない?」

「すみません」

「葵ちゃん話してくれるかな?」

私は北海道で事故にあったこと、その事故で記憶喪失になったこと
今はそのとき助けてくれた人の家でお世話になっていること
そして今回彼の出張で一緒に東京に来たことなどを話した

草摩さんは腕を組んだまま私の話をじっと聞いていた

「そんなことがあったんだ」

「あの私の名前、葵っていうんですか?」

「そう澤渡葵ちゃん、涼太はキミの恋人だよ
今はアメリカに出張中だけどね」

「出張」

「北海道もホントは涼太と2人で行くはずだったんだ
だけど急な仕事が入って一緒に行けなくてあとから行くことになってた」


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