星空を見上げて

圭介side

今日は朝から得意先回りだ、それが終わると今度は会食が控えている

クルマで移動中思い出すのは瞳のこと
今頃1人で東京の街を歩き回っているだろう
頻繁に送られてくるLINEを見ていると心が和む

そういえば・・
気がつくと最後にLINEが来てから結構時間が経っている
連絡が来なければ来ないで気になる

さっそく電話してみると・・・出ない
着信に気がついていないのか、それとも何かあったか?

心配になって電話をかけ続けていたら何度目かの着信で彼女が出た

『はい』

「瞳か、なかなか出ないからどうしたかと思ってまだ外にいるのか?」

彼女の返事がない

「瞳?」

俺の名を呼ぶ彼女の声が震えている、泣いているのか?

「今どこにいる?」

場所を問いただしても彼女は俺の名前しか言わない
何とか場所を言わせてそこから絶対動かないよう言い聞かせて電話を切った


行き先を変更して彼女のところに向かう途中、
この後に入っている会食のキャンセルを申し入れた
相手は何か言っていたが聞いていられない
言いたいことだけ言って電話をきった

車窓を眺めながら考える

昨日までは元気だったのにたった1日で何があった?
もしかして何か思い出したのか

とにかく今は彼女に会って話を聞くしかない
俺は視線を前方に移しながらクルマを急がせた


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