星空を見上げて

会計をすませ店を出ると外はうっすら暗くなっていた
家に帰りながら今日あったことをお互い話す

特に決めた訳ではないけどその日にあったことはなるべく話すようにしている
家族内で隠し事はしたくないからだ

家に着くとお袋は買った食材を冷蔵庫に入れ早速カレーを作り始めた
俺は部屋に入り着替えるとリビングのソファーに座り本を読む
するといつ帰ってきたのか圭司がリビングに現れた

「圭人お帰り、母さんと一緒だったんだ」

「ああ例のごとく荷物持ちだ」と手をぶらぶら振ってみせた
くすっと笑うとキッチンに行きお袋の手伝いを始めた

圭司は小さいころから料理の手伝いをよくしているので
料理の腕前も自然と上達し今やお袋の次に上手い

しばらくするとカレーの良い匂いが漂ってきた
今日は親父が遅くなるらしいので3人での夕飯となった
お袋と圭司が作ったカレーはすこぶる旨かった

その後風呂に入りリビングで圭司と話しながら寛いでいると親父のご帰宅だ
リビングに入ってくると息子たちがいるというのに
目の前でただいまのキスをしていた

俺たちにはもう見慣れた風景なので特に気にもしないが
知らない人が見たら思いっきり引くんだろうな

外ではクールな親父も1歩家に入ると甘々なオトコに変身する
このギャップにまわりをいつも戸惑わせているようだ
そういえば唯一動揺しないのが今も親父の秘書をしている浅野さんだっけ

そういう訳でそんな仲のいい親父たちを間近で見ているので
恋愛に免疫が出来てしまいちょっとやそっとでは気持ちが動くことはない

しかしこんなんでこの先好きな人が現れるのだろうか?
だが数年後運命的な出会いが待っていることはまだ今の俺は知る由もない


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