星空を見上げて
第1章
東京へ
・・・・・
「ただいま」
「おかえりなさい、お仕事お疲れ様でした」
と、彼から上着とカバンを受け取った
「食事出来てますよ、すぐ食べますか?」
「先にシャワー浴びてくる」
「分りました、じゃその間に用意しますね」
「あぁ頼む」
彼はネクタイを緩めながら浴室へ向かった
・・・・・
「上手い」
好き嫌いのない彼は私の作ったものをいつも残さず食べてくれる
作りがいあるというものだ
初めてこの家のキッチンを見たときは驚いた
だって調理道具が全くなかったから
聞くと料理は全く作ったことがなく、
食事はコンビニ弁当か外食で済ませていたらしいし
朝はコーヒーのみと聞いた
「私が作りましょうか?」
思わずその言葉が出たのは何故だったんだろう
「何か思いだしたのか?」
「いえ、そうではないんですけど作れるような気がして
大丈夫です、お世話になるんだからやらせてください」
彼はしばらく考え込んでいたが
「じゃあ頼む、でも無理はするなよ」
「はい」
それからは私が料理を作るようになってからは
仕事以外では家でご飯を食べるようになった、もちろん朝も
2人で食べる食事は楽しく、会話も弾む
ふと、彼が聞いてきた
「何か思い出せたか?」
「いえ何も・・すみません」
「謝らなくていい、ゆっくり時間をかけていこう」