星空を見上げて

お腹も空いていたので黙々と食べているとお義父様から話しかけられた

「葵さんのことは圭介と絵里から聞いた、大変だったね
怪我は時間が経てば治るが心に受けた傷はそう簡単には治らない
辛いだろうが圭介も傍にいることだし時間をかけて思い出していけばいい」

「ひとつ聞いてもいいですか?」

「何かな?」

「私は事故にあい記憶喪失になりました
そのため自分のことは何ひとつ覚えていません
素性の分らない私が圭介さんと一緒にいることをどう思われたのでしょうか」

「最初圭介から聞いたときは驚いた
言い方は悪いがそんな人間と一緒にいて大丈夫なのかと心配した

私は会社でたくさんの人を見てきた
そのため良い人間もいればそうでない人間もいるということも知った
中にはよく見てもらおうと相手に自分を偽る者もいるが
そういうのは目をみれば分るんだよ
だが君の目はそれがない、圭介もそこを感じたんだろう

話も聞かずに君という人間を否定するのも違うと思ってね
だからどうしても直接会ってみたかった」


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