星空を見上げて
私は圭介さんの話を黙って聞いていた
あの事故の裏でこんなに彼が悩んでいたことを知り申し訳なく思った
「最初の頃はただの同居人としか見ていなかった
家事全般を引き受けてくれたことは予想外だったが有難かった
いつも部屋はキレイに掃除されているし食事も作ってくれている
そしてどんなに仕事で疲れて帰っても葵が笑顔で迎えてくれる
いつからか俺は家に帰るのが楽しみになっていた
そしてこのままずっと一緒にいられたらと考え始めていたんだ
だがそれも記憶が戻るまでのこと
葵には記憶をなくすまで過ごしていた生活があるはずだ
何もかも思い出せばきっとそこへ戻っていくのだろう
その時俺は笑顔で送り出せるのか、日下部君の隣で笑う葵を見られるのか
葵は何もかも思い出すと
一緒にいられなくなるんじゃないかって不安がっていたけど
それは俺も同じだったんだ、そのとき自分の気持ちに気がついた」
彼はしっかりと私の目を見て
「俺は葵が好きだ・・愛してる」
圭介さん
「親父たちがいたあの場では聞きたくなかった
何だか無理やり言わされてるようで・・だから止めたんだ」
「今ここで葵の気持ちを聞きたい」
「私・・」
「私も圭介さんが好きです」