星空を見上げて
「いつ?」
「昨日伯父さんに会いに行ってきたの、その帰り
東京に戻る途中事故現場を目撃してあの時のことが甦って」
「俺とのことも思い出したのか?」
「うん」
「でも・・・やりなおせないんだよな」
「ごめんなさい」
「いや居酒屋で再会したときに感じたんだ多分ダメだろうって」
そう言いふぅっと息をはくとその顔はすっきりしていた
「これで心おきなくアメリカに行ける」
「アメリカ?」
「実はもう大分前から異動の話があったんだ
ただ葵のことがあったからなかなか決断できなかった
しかし上司の後押しもあったし
環境を変えるのも一つの手だと隆司に言われ、ようやく決めた
この間のアメリカ出張は顔見せと住む所を探すのも兼ねてたんだ」
「出発はいつ?」
「来月の終わり」
あと1ケ月ちょっと
「今は仕事の引き継ぎや取引先に挨拶に行ったりしているが
1ケ月ちょっとなんて多分あっという間だろうな
それでウチにある葵の荷物なんだが北海道に送る?
それとも伯父さんちに送るか?」
「伯父さんの家に送ってもらっていいかな?連絡しておくから」
「分った、それでいいなら」
「ごめんね」
「いや構わない」
その後は2人とも何も話さずにいるとそろそろ出ようかと言われた
お店を出ると
「葵ここで別れよう」
涼くんは私と向き合うと
「アメリカに発つ前に会えて良かった、もう会うことはないだろうが元気で
どこにいても葵の幸せを祈っている」
「涼くん大好きだったよ、一緒にいられて幸せだった
私も涼くんの幸せを祈ってる」
「サンキュ」
涼くんはじゃあなと言うと私に背をむけ歩きだした
私はその背中が見えなくなるまでずっと見つめていた
さよなら涼くん