年下彼氏と甘い恋
そして迎えた試食会……
各フロアの人々が、一斉に五階に押し寄せた。
試食会のために机を寄せ、バイキングスペースを確保した。
ホテルのシェフを呼んで、豪華な料理を作ってもらった。
いつもは殺風景なオフィスは、まるでパーティー会場のように華やかに変わっている。
そんな中で私は……
必死に食べ物を皿に取り分け、人々に配っていた。
中島さんや奥原さんは談笑しながらワインを飲んでいる。
一方、森本先輩は試食会に訪れた偉い人たちに頭を下げていた。
そして、野村君は……
「遠山さん、僕にもそのサラダ、取ってください」
当然のように私に言い、私が皿に盛りつけたサラダを持って遠くへ行ってしまった。
どうして私が給仕係なのだろう。
私だって、ほかの人たちみたいに楽しく試食をしたいのに。
だけど、気付くといつもお世話係になっていた私は、今回も当然お世話係になってしまったのだ。