年下彼氏と甘い恋
陽太なんて見ない、知らないと思いつつ、下を向いて人々に料理を取り分ける私の耳に、新たな声が聞こえた。
「陽太君、新しいアルコールはどう?」
「ありがとう、茉美」
ピクリとした。
だって陽太が、女性を呼び捨てにしたから。
恐る恐る顔を上げた先には、陽太とすらっと背の高く髪の長い女性がいた。
私は彼女を知っている。
ついこの間エレベーターで会った女性だ。
彼女は女神のような笑顔で私を見てこう言った。「同僚の山下です」
同僚……そう、同僚に変わりはないのだろうが、山下さんは他の女性より、より陽太と親密に思えてしまう。
嫌な胸騒ぎがする。
顔を背けたいと思うのに、気になって仕方がない。
そんな私の嫌な予感は見事的中する。
ぽかーんと二人を見る私の耳に、男性の声が飛び込んだ。