年下彼氏と甘い恋
「里佳子ちゃん、この後二人で飲み直さない?」
その言葉に頷いていた。
目の前にはかっこいいとは言えない男性。
よれたシャツに、冬だというのにハーフパンツ。
それだけではない。
キラリと輝くロレックスを見せつけ、
「僕、もうすぐお父さんの会社の社長になるんだ~。
だから、僕といたら、マネーには困らないよ」
何がマネーだ、すねかじり。と突っ込みたくなる。
だが、私には、夢に描く理想の王子様なんて現れないことはよく分かっている。
この程度の男が妥当なのだ。
……いや、この程度の男ですら、私には相応しくないのだ。
だって……あらゆる男に逃げられてきたから。
28歳になるのに、初体験はおろか彼氏すらいたことがないなんて。
「うん……二人で飲み直そう」
努めて笑顔で答えていた。