年下彼氏と甘い恋




またまたそんなことを口走る私の頭には、山下さんの言葉が響いていた。




山下さんは、陽太とホテルのフレンチに行った。

夜景を見ながらカルティエの指輪をもらった。

なんてロマンチックなシチュエーションだろう。

そして、なんて羨ましくて妬ましい事実だろう。

張り裂けそうな胸をぎゅっと掴む。






「またまたぁ、里佳子はそんなこと言って。

俺の気持ちは26年間、里佳子にしかなかったからね」





それならどうして、山下さんにカルティエの指輪なんてあげたの?

しかも、東京の夜景を背景に!!





「陽太の言うことなんて、信じられないよ」




そう言って逃げようとした私の手を、再び引っ張る陽太。

その力が意外にも強く、再びベンチに腰を下ろしてしまう。


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