年下彼氏と甘い恋
「こんな風に渡したくなかった。
でも……渡さないと、里佳子は分かってくれないよね?」
陽太は静かに言うが、その言葉は悲鳴のように私の胸に突き刺さる。
口元をぎゅっと閉じた余裕のない陽太と、視線がぶつかる。
そのまま泣きそうな顔で陽太は言った。
「……結婚してよ、里佳子。
俺には里佳子しかいないんだよ」
その言葉を待っていた。
陽太と結婚したいと思っていた。
だから、飛び上がるほど嬉しいはずなのに……
陽太が差し出した小さな箱には、『Cartier』の文字が刻まれている。
それが酷く私の胸を掻き毟り……
私はその箱を掴み、投げていた。
箱が開き、きらりと光るものが川へと飛んでいく。
それはまるで、私の思いがプツッと切れたようだった。