年下彼氏と甘い恋
「里佳子って、昔からお姉ちゃんだったよね」
陽太は静かに口を開いた。
私はそれを黙って聞く。
「近所のゆきちゃんが飴がなくなったって言ったら、自分の飴あげたり。
たっくんがヒーローごっこしたいって言ったら、悪者役やってあげたり。
空手始めたのも、かなちゃんがいじめっ子にいじめられていたからだよね?」
「……陽太、知ってたんだ」
「俺は何でも知ってるよ?」
そう言って、楽しそうに陽太はふふっと笑った。
だからつられて私も笑ってしまう。
「里佳子はそうやって昔から人のことばかり考えてたから……
びっくりするほど、人のこと考えるから……」
「うん……」
「だから里佳子が俺に気を遣わず、指輪放り投げてくれて嬉しかった」
「……え?」
私は思わず陽太を見た。
陽太はまた、私をからかっているのかと思って。
だけど陽太はただ優しげに私を見下ろすだけだった。