aventure

波瑠は次の日も自分の授業が無いにも関わらず
桜智に逢いに大学へ行った。

もともとデザイン学科と建築学科は校舎が違う。

広い大学の中で桜智を見つけるのは容易じゃなかった。

波瑠は桜智を見つけた時、
なぜか胸が高鳴った。

「サッちゃん！」

桜智を呼び止めて軽く手を振ると
桜智は笑顔で会釈した。

「昨日はゴメン。

気分悪くさせて…お詫びに昼飯でもどうかなと思って…？」

桜智は真緒と一緒で少し悩んでいる。

「お友達も一緒にどうぞ。」

「え？良いんですか？桜智、行こうよー。」

真緒は波瑠を見て目配せする。

そしてドアの前まで来ると

「あ、忘れ物しちゃった！

ゴメン、先に食べてて。」

と真緒は桜智を波瑠と2人っきりにして帰って行った。

桜智はヤラレタと思いながら波瑠とカフェに入った。

昨日のことがあってなんとなく気まずい感じだ。

桜智の目が昨日泣いたってわかるくらい腫れてて
波瑠は罪の意識を感じる。

「本当にゴメン。

サッちゃんも辛い想いしてたのに無神経だった。」

「いえ、いいんです。

先輩が悪いんじゃなくて…

私が…まだ子供なんだなって思って…」

波瑠は会うたびに桜智に興味が湧いてしまう。

このまま父から奪って冷たく捨てるつもりだったが
復讐のために会っているつもりが
いつからか桜智に逢うのが楽しみになってる。

「午後は授業あるの？」

「いえ、今日はこれで終わりです。」

「予定ある？」

「いえ、特に…」

「じゃあ少し気晴らししにいかない？

昨日のお詫びも兼ねてサッちゃんの行きたい所につれて行ってあげる。」

桜智はデートというモノを鴻とした事がなくて
行きたい場所も行けなくてストレスが溜まっている。

「本当に行きたいところに連れてってくれますか？」

「うん。」

そして桜智は波瑠とずっと行きたかった遊園地へ向かった。

鴻とは絶対に行けそうに無いから。