aventure
桜智は波瑠とジェットコースターに乗ったり
観覧車に乗ったりして
20歳の女の子の普通のデートを満喫した。

相手が鴻じゃないのが寂しいが
鴻によく似た若い男は代役にしては十分すぎるほど素敵だった。

夜になってライトがつくと雰囲気がガラッと変わって
さっきまで子供の姿が多かった遊園地は
カップルばかりに様変わりした。

「疲れてませんか?」

「うん、ちょっとね。」

桜智はベンチに波瑠と腰掛けた。

「でもね楽しかった。

遊園地なんて久しぶりだな。

妹と中学生の頃は良く来たのに…

最近は全然だ。」

「妹さん想いなんですね?

可愛いですか?」

「うん。可愛い。

僕の知ってる女の子の中で一番可愛いよ。」

兄弟の居ない桜智は少し羨ましいと思った。

「先輩みたいなお兄ちゃんが私にも居たら良かったな。」

そう言って波瑠を見ると波瑠は桜智の目を見て言った。

「サッちゃんのお兄ちゃんじゃ困る。

こういう事出来ないでしょ?」

次の瞬間、波瑠が桜智の頰に触れてキスして来た。

桜智はビックリして波瑠から離れた。

「ダメ…だった?」

「そうじゃなくて…あの…私…」

戸惑ってる桜智に波瑠はもう一度強引にキスをする。

桜智はそんな波瑠のキスに震えながら瞳を閉じた。

「サッちゃん…俺…サッちゃんが欲しくなった。」

桜智の鼓動が早くなって
この時の桜智に鴻の事は頭に無かった。
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