aventure

鴻に似てると思っているが
若い波瑠の肉体は鴻のそれとは明らかに違った。

桜智は終わった後、波瑠とカラダの関係まで持ってしまった事を後悔していた。

これは明らかに鴻との契約違反だ。

この事を鴻が知ったらマンションを追い出され
二度と鴻に逢えないかもしれないと思うと
不安になった。

波瑠は桜智を自分のモノにしたものの
父と同じ女を抱いた事に少しの嫌悪感があった。

しかし目の前の桜智は美しく
思ったよりのめり込んでしまった。

「桜智…後悔してるの？」

波瑠がそう聞くと桜智は首を振った。

強引に迫られたが結局は桜智も同意してこうなったのだ。

桜智はそんな自分が信じられなかった。

「そうじゃないけど…」

泣きそうな桜智を見て
波瑠の胸が痛む。

「俺のこと好きじゃなかった？

好きだからやらせてくれたんだよね？」

波瑠のその言い方に桜智は少し傷ついた。

「気まずい？

帰りたくなった？」

波瑠は優しいけど少し怖い。

それだけが目的だったのか今の桜智にはよくわからない。

不安そうにしてる桜智の気持ちを察して
波瑠は次のパフォーマンスを実行する。

「桜智…好きだよ。」

波瑠が桜智を抱きしめて
桜智は波瑠の胸に顔を埋めた。

「先輩…ごめんなさい。」

「なんで謝るの？」

「私…先輩のこと好きになったけど…

他に好きな人もいます。」

桜智はあまりに正直で
嘘をついてる波瑠は罪悪感に苛まれる。

「その人とは別れられない？」

波瑠はもし桜智が鴻と別れると言ったらこのまま許してあげようと思った。

「彼を忘れるのはきっと時間がかかると思います。」

だけど桜智はまだ別れる気は無いようだ。

「それでもいいから…俺のモノになって。」

波瑠はそう言って桜智をきつく抱きしめた。

桜智を鴻から引き離すために。