aventure
揺れる
次の日桜智は大学をサボった。

波瑠とチェックアウトギリギリまでホテルに居たが
ホテルを出ると
波瑠は用事があると言って桜智をマンションまで送るとすぐに帰った。

桜智はもう波瑠から連絡が来ないかもしれないと思った。

波瑠は桜智のカラダが欲しかっただけで
寝てしまったら必要ないと思われるんじゃないかと不安になった。

かと言って波瑠と関係を続けながら
鴻の世話になるわけにも行かない。

何しろ鴻を裏切ってしまった事に耐えられなかった。

その夜、鴻は部屋に来なくて
桜智は真緒を呼び出した。

「今日はおじさん来ないの?」

「うん。仕事だって。」

真緒はなんとなく元気の無い桜智の姿が気になった。

「桜智、なんかあった?

おじさん?それとも大学生の方?」

桜智は泣きそうな顔をして波瑠との事を話した。

「まさかそんなに早くそうなるとは…

それで大学生が好きになっちゃったの?

でもおじさんとの関係が切れたら生活してしていけないもんね。

黙ってればいいんじゃないの?」

鴻のことをただの契約者だと思えば
簡単なことかもしれないが
桜智は鴻の事が本気で好きだった。

今はまだ波瑠よりずっと鴻が好きだ。

「ダメ。

鴻さんに嘘つくなんて無理。」

「バカじゃないの?

正直に話したらおじさんは桜智ともう会わないと思うよ。」

「そうかな?」

「だって契約違反なんでしょ?

いい?桜智、生活のためにもおじさんにはこの事黙ってなきゃ。

桜智が大学生と寝たのはちょっとした寂しさからでしょ?

おじさんが本気で好きなら大学生とはもう会わなきゃいい。」

だけど桜智はもし波瑠がまた桜智を誘って来たら
会ってしまう気がした。





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