aventure
jealousy
桜智があっさり波瑠とキスした事を認めて
鴻は後悔している。

聞かなければよかったと。

「ゴメン、鴻さん。

彼とはもう会わないから。」

桜智の澄んだ瞳からポロポロと涙が溢れ落ちて
鴻は桜智を許したくなった。

「桜智は彼が好きなんだね?」

「好きだけど…鴻さんのがずっと好き。」

鴻はこんな子供みたいな桜智をお金で縛ってる自分が情けなくなる。

もうどうしたらいいかわからなくなった。

しかし今、桜智と別れたら桜智は路頭に迷ってしまう。

しかも自分を好きだと言ってる桜智を冷たく捨てることなどとても出来なかった。

「桜智、その大学生とはどうやって知り合ったの?」

「突然声かけられて誘われたの。」

「桜智のことが好きだって?」

「…うん。まあ…

鴻さんと逢える時間が少なくて寂しかったの。

それで何回か逢ってるうちに…」

「好きになった?」

鴻が桜智に聞くと桜智は黙って頷いた。

「許してくれる?」

「キスだけなら。」

鴻はキスだけなら許すつもりだった。

でも桜智は波瑠ともっと深い仲になっていた。

桜智は何も言わずに泣いた。

鴻はそんな桜智を見て天を仰いだ。




< 36 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop