aventure

桜智とのことは過ちだったと鴻は今も思う。

鴻はただその美しく若い肉体に惹かれただけのつもりだった。

彼女はそれを提供し、自分の居場所を手にする。

二人の関係はそれだけだと何度も言い聞かせた。

妻の翠はずっと鴻を欺き、
よりにもよって自分の下で働いていた三枝と出来ていた。

そのせいで凪があんな目に遭って
幸せだと思っていた家庭はいとも簡単に壊れてしまった。

それから誰にも心を開けず
女という生き物が信じられなくなった。

それでも桜智のような何も知らない若い女の子なら
傷つけられる事もなく自分の自由に出来ると思った。

でもやはり桜智も翠と同じ女だった。

お金を払ったところで心までは縛れない。

鴻が自由に出来るのはその肉体だけだった。

それでもまだ桜智は鴻の事を愛していると言ってくれる。

全てを捨てて桜智を選べば
桜智は自分のところに留まってくれるだろうか？

しかしそんな事をしたら波瑠や凪はどうなってしまうだろう？

鴻は家に帰るまでそんな事を考えていた。

家に帰ると波瑠が珍しく部屋に居た。

桜智は波瑠を拒んでくれたようだ。

キッチンで翠が酒を飲んでいた。

翠も翠なりにここは地獄なんだろう。

三枝とはどうなっているんだろうか？

四年前のあの事件で別れたのか
未だ関係を続けてるのか鴻は知ろうともしなかった。

波瑠は桜智が会ってくれるどころか
電話にも出ない事に苛立っていた。

桜智が自分ではなく父を選んだと分かると
怒りよりも苦しみや悲しみの方が大きかった。

波瑠は桜智への想いを紛らわすため
結美を呼び出した。

結美は波瑠にとってはいわゆる都合のいい女というヤツだった。

もっとも結美の方は自分を波瑠の彼女だと思ってるが
波瑠の目的はいつも結美の身体だけだ。

結美はいつもより乱暴に扱われて
少し驚いていた。

「波瑠…なんかあったの？」

背を向けてタバコをふかす波瑠に結美が聞いた。

「お前さ、自分の父親くらいの男と寝られる？」

「は？」

「俺の親父と会ったことあるよな？

俺の親父と寝れる？」

「何言ってるの？バカじゃないの？」

波瑠は呆れて帰ろうとする結美を押さえつけて
真剣な顔で聞いた。

「な？どうなの？じゃあさ、親父が金くれたら寝る？」

「どうかしてる。」

結美は波瑠の手を退けて起き上がり

「波瑠のお父さんは素敵だからお金くれなくても寝るかも。」

と怒って言った。

波瑠は結美を再びベッドに引き釣り混んで
いきなり結実の脚を開いた。

「いやっ…」

初めは嫌がっても結美の身体は簡単に波瑠を欲しがった。

「お前、男なら誰でもいいんだろ？」

波瑠は結美に酷いこと言ったが
それはすべて桜智への言葉で桜智をこんな風にめちゃくちゃに抱きたいと思っていた。