aventure

波瑠は心配になって桜智を探した。

しかし桜智はなかなか見つからなかった。

そして鴻に電話をかけた。

「親父、まずいことになった。

桜智にオレの事がバレたみたいだ。」

鴻はそれを聞いて桜智に電話した。

桜智は電話には出ず
鴻は打ち合わせをキャンセルして
桜智の住むマンションを訪ねた。

合鍵で中に入ると
桜智は部屋の片隅で膝を抱えていた。

「桜智…」

鴻の存在に気がついて桜智は怯えたように震えている。

「鴻さん…私…とんでもないことを。」

鴻は何も聞かずにただ桜智を抱きしめた。

桜智は鴻の胸で泣いた。

「桜智…お前は悪くない。

悪いのは俺だ。」

「鴻さん…知ってたの？」

鴻は頷いて桜智に諭すように言った。

「僕が桜智を好きになって波瑠を傷つけてしまった。

だから波瑠は桜智を僕と引き離そうと…

もっと早く気がついていれば桜智を傷つけなくて済んだのに…」

桜智は鴻に知られていたことで更にショックを受けた。

鴻は波瑠を呼んでもいいかと桜智に聞いた。

桜智は波瑠と話すべきだと思っているが
深く傷ついていた。

「今はあの人の顔を見て冷静に話なんかできない。」

桜智がそう言うのも最もだった。

「わかった。

波瑠には逢わなくてもいい。

でも…心配だから今夜は桜智のそばに居させてくれるね？」

桜智は一人になるのも怖くて鴻にしがみついた。

「鴻さん…私たちこれからどうしたらいい？」

「僕は桜智が許してくれるなら側に居たいと思ってる。」

「でも…先輩が許さないと思う。」

「波瑠は…波瑠には僕からキチンと話してある。

だから桜智は心配しないで。」

鴻は優しく桜智のオデコにキスをした。