aventure
次の日、鴻の事務所に波瑠がやってきた。

鴻は波瑠と外に出て二人で話をした。

「桜智はどう?」

「かなりショックを受けたみたいだ。」

「そうか…それで?別れることにした?」

鴻は波瑠を傷つけたくなかったが
桜智とは別れられないと伝えなくてはならない。

「桜智の面倒はこのまま見るつもりだ。

私は桜智に責任がある。

もちろん桜智との関係は終わらせるつもりだが…
頼る人もお金もない桜智を放り出す事は出来ない。」

波瑠は鴻の言う事は最もだと思った。

桜智を一人にするのはあまりに可哀想だと波瑠もわかっている。

「それは認める。

だけど…もう桜智の身体には触れないで。」

鴻は目を閉じた。

「わかってる。

でも…桜智が望んだら抱きしめるくらいは許してくれ。」

「それは俺がするよ。

桜智に悪いと思ってるし…俺は桜智のことが…」

「それは桜智が望まないだろう。

お前は桜智を騙して桜智を弄んで身体まで奪ったんだ。

桜智はお前に悪いと思ってるし優しい子だから許すだろうが
できればお前とはもう逢いたくないと思ってる。」

それでも波瑠はこのまま桜智と別れられなかった。

「俺は自分でも気がつかないうちに桜智を好きになった。

だからここで諦められない。

親父が引いてくれ。」

「お前は自分の父親と寝た女を愛せるのか?」

「親父だって息子と寝た女を愛せるのかよ?」

「波瑠…私と桜智はお前や凪を泣かせてまで愛し合うほどの関係じゃない。

だが、私は桜智を他の男には譲れてもお前だけは許せない。」

鴻も波瑠も本当は桜智を手放したくなかった。

でも…このままでいいとは思ってない。

それぞれがそれぞれの事を思って
何がいい選択なのか考えていた。




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