aventure
波瑠は桜智をの腕を掴むとマンションに強引に引き戻した。

「部屋はどこ?」

桜智は波瑠の腕を振り解こうと必死に抵抗した。

「部屋はどこだよ!」

波瑠に怒鳴られて桜智は震えてる。

波瑠は泣いてる桜智を壁に押し付けてキスをした。

桜智は嫌がったが
何度もキスするうちに大人しくなった。

「桜智…俺は桜智が欲しいんだ。

親父から引き離すためにあんなことしたけど…
桜智としたスリルが忘れられない。」

桜智はただ泣いていた。

波瑠はこれ以上酷いことは出来なくて
桜智の髪を撫でると帰っていった。

波瑠は愛情を持ってその髪を撫でたが
桜智には恐怖でしかなかった。

桜智はその場に座り込んで泣いた。

夜になって鴻が部屋にやって来た。

鴻には昼間の波瑠との事は言えなかった。

桜智は鴻にも波瑠にもどんどん秘密が増えた。

「元気ないね?何かあった?」

鴻はいつもより無口で笑顔の無い桜智が気になった。

「ううん、今日はちょっと疲れててて…」

鴻はお茶だけ飲むと帰ろうとした。

桜智はそんな鴻に抱きついた。

「鴻さん…ごめん。せっかく来てくれたのに…」

「どっちにしろ今日はそんなつもりで来た訳じゃない。
これを渡しに来ただけだ。」

鴻はお金の入った通帳と銀行のカードを桜智に渡した。

「来期の大学の学費に使って。

そろそろ入金する時期だろう?

また次の期になったら振り込んでおくから
学費の事は心配しなくていいよ。」

そう言って桜智の手に握らせる。

桜智はそれを受け取るのも気が引けたが
それがなければ大学を辞めるか
もっとたくさんお金の入る割のいいバイトをするしかなくなる。

「鴻さん、このお金は必ず返すから…」

鴻はそれを聞いて少しビックリする。

「もしかしてもう僕とは寝たくないって事?」

「そうじゃなくて…お金のために寝てるって思われるのが嫌だから。」

鴻は桜智にキスをした。

「桜智…そんな風に考えてないよ。

このお金は桜智の身体が欲しくて渡してるんじゃない。

例え桜智がこの先、僕と寝たくないって言っても
桜智がちゃんと生活出来るようになるまで援助するつもりでいるから安心して。」

桜智は鴻の愛を確かめたくなる。

「鴻さんは私の何?」

「うーん?何かな?足長おじさん?」

「私は鴻さんの恋人になりたい。」

鴻はそんな桜智を抱きしめた。

出来る事なら足長おじさんじゃなく
桜智の恋人として生きたいと鴻も思っていた。

だけどそれは到底許されないと思った。









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