aventure
波瑠はそのうち眠ってしまった。

目を覚ますと桜智はまだ眠っている。

波瑠は桜智に近づいて
その隣に寝転んだ。

寝顔を見て、視線を下に落として行く。

胸の谷間を見て
少し開いた脚を見て
小指の爪まで舐めるように見た。

身体が熱くなるのを感じた。

その視線を感じたのか桜智が目を覚まして
波瑠と目が合った。

桜智はまだお酒が抜けなくて
状況を把握出来てない。

「先輩…沢山飲んだからもう許してくれますか?」

寝言のように話しかけて
また瞳を閉じる。

波瑠は桜智の頰を叩いて無理やり起こした。

「起きろ。」

桜智はまた目を開けて身体を起こすとベッドに座り、周りを見回した。

桜智は自分がいる場所がどこか分からず
焦っていた。

「ここは?」

壁面と天井に大きな鏡がある。

天井にはミラーボールがついていた。

桜智はまだクラブにいるのかと錯覚したが
大きなベッドに波瑠と二人きりだった。

「な、何したの?」

「何にもしてねーよ。」

「だって服が…」

「ピタピタで苦しそうだったから脱がせたけど…
それだけだ。」

「それだけって…」

「別にもう全部見てるから平気だろ?」

桜智は黙り込んで服を着ようとした。

「疲れたから泊まってけよ。」

「一人で帰れます。」

「ダメだ。危ないだろ?」

桜智は困っているが
波瑠は桜智の腕を掴んだまま離さなかった。

「でも…」

「今度は本当に何もしないよ。」

桜智は前回の事があるので信用出来ないと思いながら
自分もまだアルコールが抜けずに怠かった。

桜智は波瑠の隣に寝転んで
波瑠の顔を見た。

端正な顔立ちは父親譲りだ。

「先輩が鴻さんの息子さんだって
何で気付かなかったのかな?

こんなに似てるのに…」

桜智は波瑠の頰に触れた。

「ヤられたいのかよ?」

波瑠にそう言われて手を引っ込める。

波瑠はその手を掴んで再び自分の頰を触らせると
桜智をまっすぐと見つめた。

「どうして親父なの?

俺だったら後ろ指されることも無いのに…

どうして俺じゃダメなの?」

桜智は波瑠の顔をこれ以上見ていたくなかった。

波瑠に見つめられると妙な気分になるからだ。

鴻にそっくりな若い男は桜智の理想だったから。











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