aventure
許されない愛
桜智は波瑠と2人でいると自分が分からなくなる。

若い頃の鴻はこんな感じだったに違いない。

その時、自分はまだ生まれてなくて
鴻との時間の距離を感じる。

この頃の鴻に出会ってたら果たして自分は恋に落ちたのだろうか?

「桜智…」

目の前の波瑠が桜智にキスしようとする。

桜智は若い頃の鴻とキスする気分になったが
目の前の男は波瑠だ。

「ごめんなさい。」

桜智は波瑠のキスを避けた。

波瑠はまた受け入れてもらえず胸が痛んだ。

「俺じゃなければいいわけ?

それとも親父じゃなきゃダメなの?」

波瑠が鴻の息子じゃなければ良かったんだろうか?

そんな事は無い。鴻を愛してると桜智は信じてる。

「多分…鴻さんだから。

鴻さんじゃないとダメなんだと思う。」

波瑠はそれを聞いて絶望的な気分になる。

「親父は桜智のその気持ちを受け入れられないよ。」

「わかってる。

わかってるけど…止められないの。」

「このままじゃ桜智はダメになる。

親父だって桜智と一緒にいたら何言われるかわかんないんだ。

現に今だって桜智といる親父を見た人に陰口叩かれてる。

桜智のしてることは俺の家庭を壊そうとしてる事だ。」

桜智はそれを言われて、自分の両親を思い出した。

若い女に走って自分を捨てた父。

男を連れ込んで勝手に住まわせた母。

自分はそのせいでこんな暮らしをしている。






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