aventure
鴻がマンションに行くと
波瑠が桜智を抱きしめていた。

桜智は泣いていて鴻はその姿に嫉妬した。

「波瑠…お前はもう帰れ。」

鴻は波瑠から桜智を引き離してそう言った。

しかし波瑠は素直に帰ろうとしなかった。

「親父…桜智を譲ってよ。

桜智は俺が好きなんだ。

でも金に縛られて親父から離れられないんだ。」

桜智は首を振って泣いている。

「桜智…休んでなさい。

波瑠と話をしてくる。」

鴻は波瑠を連れて外へ出た。

近くのカフェに波瑠を連れて行った。

「桜智を困らせるな。

お前が桜智に手を出したからお母さんは桜智を許さないんだ。

お前が諦めれば桜智はもう家出なんかしないで済む。

安心してあそこに居られるんだ。」

「親父は桜智をどうするつもり?」

「桜智が独り立ちできるまで援助するだけだ。

桜智のことは守って行くから。」

「桜智とはもう金以外で関わらないって約束出来る?」

「波瑠がもう桜智に会わないって約束するならそうする。」

鴻は何とか桜智から波瑠を引き離したかった。

桜智への嫉妬心もあるが
波瑠にもっと普通の恋愛をして欲しかったからだ。

一度でも父親と関係を持った女と波瑠を一緒にする事など絶対に許されない。

「いいか、波瑠?

桜智だけはダメだ。

それがお前の為だと思うし、
桜智の為でもある。」

しかし波瑠はもう簡単に引き返せないところまで来ていた。
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