aventure
鴻は波瑠と別れ、桜智のマンションに戻って来た。

桜智は震えていた。

鴻は桜智を抱きしめて落ち着かせる。

「桜智…すまない。

不快な思いをさせたね。」

「鴻さん、先輩は私たちのこと許さないよね?」

鴻は黙って桜智の髪を撫でた。

「私…本当に鴻さんの家族に酷いことしてるんだね。」

「桜智…君には済まないと思うけど…
他に住む場所を見つけるから…ここから出てくれないか?

このままだと波瑠は何をするかわからない。

それは僕も望んでない。

桜智のことは大切だけど…波瑠のことも愛してる。

これ以上…波瑠を傷つけることは出来ない。」

桜智は瞳を閉じた。

ここまでだと思った。

「僕は自分の立場を忘れて…桜智を愛しすぎてしまった。

桜智のことも傷つけてしまったね。

このまま僕と付き合っていても…桜智は白い目で見られて…なにかと辛い思いをするだろう。

だから桜智… 本当に自分勝手で申し訳ないけど…」

そこまで言いかけて鴻は言葉に詰まり、何も言えなくなった。

桜智を手放すことは思ったより辛かった。

桜智はそんな辛そうな鴻を見て、
もうこの関係を終わりにしようと思った。




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