aventure
「鴻さんは紳士だと思ったけど…やっぱり男なんだね。」

「男はどんなにカッコつけて気取ってても
可愛い女の子の前じゃただの男になる。

こんなおじさんでも…
君みたいな若くて綺麗な子を欲しいと思ってしまう。

それに僕は桜智が思ってるほど紳士じゃない。

しがない寂しい中年男です。」

桜智は鴻の手を握って言った。

「また逢える?」

「桜智…こんな事言っていいのかわからないけど…

君を助けても?」

「お金払うって事?

それって私の身体買うって事?

お金払ったらもうそれで終わりなの?」

「そうじゃない。

また逢いたい気持ちはある。

でも桜智は今日、もしかしてお金ために僕に逢ったんじゃないか?」

桜智はそれだけじゃなかったが
今は綺麗事を言えるような余裕は無かった。

「軽蔑した?」

「いや、僕もそのつもりで君を誘った。

お金を払えばある程度のことはしてくれるかと…

軽蔑した?」

桜智は首を横に振った。

「行くところがないから
マンションを用意してもいい。

桜智を助けたいし、
僕はまたこうして桜智と逢いたい。

それでもいいかい?」

桜智は愛人になるという事に多少の抵抗はあったが
鴻みたいなステキなおじさんと特別な関係になれるならそれでいいと思った。

「鴻さんならいい。

…鴻さんでよかった。」

「本当に?」

「うん。」

そして鴻は桜智にもう一度キスをした。




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