aventure

恋しくて

行くところを失った桜智はとりあえず真緒に世話になることにした。

今の桜智をとても一人にはできないと真緒は快く桜智を迎えてくれた。

「ごめんね。私のせいで彼氏、部屋に呼べないよね？」

「あー、あの男なら別れたから気にしないでいいよ。」

真緒は別れたと言ったが
実際は桜智に気を遣ってそう言った。

「ね、桜智…合コンしない？」

桜智は鴻と別れたばかりでそんな気にはなれなかったが真緒に強引に連れて来られて
仕方なくその席に座ることになった。

「お互い良い男見つけて、別れた男のことは忘れよう。」

合コンは大学の近所のカフェレストランで
相手は他校のアメフトのサークルの男の子たちだった。

桜智はどの男と話しても鴻と比べてしまい、
もちろんどの男も子供に思える。

そんな中で一人の男の子が桜智の目に留まった。

「こんばんは。
山崎翼っていいます。
翼って呼んでくれていいから。」

自己紹介しながらさりげなく桜智のとなりに座って
ニッコリと笑った。

桜智は興味なさそうに翼を見て、
軽く会釈した。

「さっちゃん…だよね？」

桜智はさっちゃんと呼ばれて
波瑠のことを思い出した。

「その呼び方やめてもらえますか？」

「さっちゃん？

何？嫌な思い出でもあるの？」

翼は桜智の傷ついた心の中に土足で入ってくる感じで
桜智は少し警戒した。